1.テニスのお約束(1)

2012.01.08.Sun.16:26
私tomokoは今年の春、女子大を卒業してある私立学校法人に事務職として就職したのですが、そこで偶然、冬彦さんに再会することになりました。

私と同じく今年の春、T大を卒業してみすず銀行に就職していた冬彦さんが、私が働いている学校法人の貸付担当者となって、今年6月、ひょっこり私の勤務先に姿を現わしたのです。

彼は今から5年前、彼が浪人生で私が高3の時、私の母校聖縄女学院で起きた殺人事件(ショーツの伝言事件)の目撃者として関わっていた人です。

冬彦さんのお誘いで二人でお酒を飲んだとき、私の昔話をひととおり聞いただけでショーツの伝言事件の真相を言い当ててしまったことにびっくりした私は、彼という人物に興味を持ちました。

それ以来、二人はお付き合いを始めたのです。

************

その後、何回かお会いして親しくなった私たちは、8月のある土曜日、二人でテニスでもしようかという話になりました。
御殿場のテニスコートも予約できました。

聞けば冬彦さんは、高校時代硬式テニス部のレギュラーだったそうで、頭が良くて色白のお顔なので、インドア派のヲタだとばかり思っていた私は意外でした。 
そう言われてみると、細身で長身ですが背中が広く、指も長くて手のひらも大きい。 私、指の長い男性に弱いんです(笑)。
冬彦さんも私が女子高時代テニス部だったことを知って嬉しそうでした。

「tomokoちゃんが真夏のテニスにつきあってくれるとは嬉しいなぁ。 女の子は真夏の屋外を嫌がるからね。 日焼けやネイルは大丈夫?」

「日焼け止めをたっぷり塗るわよ。 今は女子プロゴルファーもネイルして試合に臨む時代よ? 最近、運動不足で体を動かしたかったのよ、私。 これでも一応、テニス部で副部長だったのよ? 真夏に汗をかくのは大好きだし。 それに、大人になってからは、汗をかいた後の楽しみも覚えちゃったしね?」

「うーん、そうそう。 真夏のテニスは、むしろ終わった後のほうが楽しみなんだよね?」

冬彦さんも私も、コートを走り回って汗だくになったあとで、凍ったように冷えたビールを一気に喉に流し込む時の快感を思い浮かべ、顔を見合わせ頷き合いました。
よく冷えたビールが好きな点でも二人は趣味が合うのです。