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38.事件の真相(2)

2011.12.02.Fri.02:14
冬彦さんが銀行員として私の前に姿を現した日の夕方、職員室で仕事をしていた私に彼から電話が掛かってきました。
「tomokoさん、みすず銀行の新しい担当の方からお電話よ?」
私は簡単な銀行関係事務もやっていましたから、冬彦さんから連絡があるのは不自然な事ではありませんでした。

残高証明書の打ち合わせが済んだあと、冬彦さんから、一度お会いしませんかという誘いをもらいました。
私もちょっと懐かしい気もしましたし、銀行の方と仲良くしておくのは悪い事ではないと思い承知しました。

3日後の金曜日の夜、新宿の個室居酒屋で落ち合う事になりました。 それは偶然にも、三年前に久美子先生と親しくおしゃべりをしたお店と同じ系列店でした。 あれ以来お眼にかかっていない久美子先生のことが、ふと思い出されました…。

******************

金曜日の夜、待ち合わせ場所にダーク系の背広で黒い鞄を持って現れた冬彦さんは、もう立派な新人銀行員と言う風情でした。
掘りごたつのテーブルに腰をおろし、最初にビールで乾杯したあと、お互いの職場について差し障りのない話をしました。

冬彦さんは五年前の印象とは全く変わっていました。
お酒が進んでも変わらない落ち着いたものごしと、私のような素人に難しい経済用語を優しく教えてくれる口調は、もう立派な社会人でした。 細身で長身の姿は変わっていませんでしたが、少し色白な顔に深く澄んだ瞳が、にっこり笑うと意外に可愛らしいことにも気がつきました。

ビールの後、冬彦さんは日本酒が好きだということで冷酒を頼みました。 よく冷えた銘柄吟醸酒は本当に美味しくて、注がれるままについつい飲んでしまい、比較的お酒に強いと言われている私も、だんだんほろ酔い気分になってきました。
そのころには二人ともずいぶん打ち解けてきて、お互いの経歴も披露しました。

「あの事件が人生の一大転機になったんですよ」
冬彦さんがそう言ったのには、ちょっと驚かされました。
私たちが高3のときに起きた松岡先生の事件が、彼のその後の人生に影響を及ぼしたとは思いませんでした。
盗撮に関しては、あれが初めての実行だったということや、被害者からの訴えもなかったことから、警察からこってり絞られた末に釈放されたとのことでした。 前途ある青年の将来を考慮して履歴書の賞罰欄にも残さない対応となったそうです。

「あれは若気の至りでした。 盗撮など人間として恥ずべき行為です。 大学受験に失敗して、人生に目的を見いだせず、邪心のおもむくままスリルを味わおうとした未熟な自分が恥ずかしい…」
冬彦さんは私に冷酒を注いでくれながら言いました。
「でもね、あのことがきっかけで、僕は自分の進むべき進路に気がついたんですよ。信じてもらえないかもしれませんが」

冬彦さんの話によると、その日通用口から出てきた10人の標準セーラー服のスカートの下に覗き見た純白のショーツ群を見て、
「世の中にこんなに美しいものがあったのか!」
と心の底から感動したそうです。

「眼から鱗が落ちるとはこういうことかと思いましたよ。 純潔と言う言葉どおりの白い輝きを眼にした瞬間の心震える歓喜! おおげさかもしれませんが、女子高生が穿く白いショーツは、完璧な芸術品だと思います。この想いを誰かに伝えたい。 純白ショーツの素晴らしさを世の中に向かって叫びたいと感じました。
ぼくは初めて人生に目的を見出した気がしました。人には美しい物を美しいと主張する権利がある、いや義務がある。うだうだ浪人なんかしてる場合じゃないってね」
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