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28.伝説の真相(3)

2012.05.30.Wed.00:00
「誰も口には出さない。 でも、多くの人々が偽神社の意外な存在意義に理解を示し、その公務員の判断に心の中で賛同していたのかもしれない。
そんな、こんなで、7年間、偽神社は撤去されなかったのではないか、という想像もできるわけさ」

「そんなことが、現実にありえるのかしら・・・」

「もちろん、全ては僕の妄想さ。 実際は都庁の役人がサボっていただけかもしれないし、恵子先生は何の気なしに話を出しただけかもしれない。

でもね、自分の勤務評定が悪くなることを覚悟のうえで神社を撤去しない役人とか、せっかくの飯の種であるスキャンダル記事をボツにして波風立てない雑誌記者とか、議会での貴重な与党攻撃材料を黙って封印する野党議員とか、学校やPTAから叱責されるかもしれないのに神社へ行くことを黙認する女教師とか、もし、そういう人たちが実際にいたらと想像するだけでも愉快じゃない?

東京という土地は多くの人が住んでいる。
人の数だけ価値観は異なる。
無数の価値観が自分の正当性を主張して、互いに攻撃しあっている殺伐とした都会だ。

でも、そうしたなかで、自分が損するかもしれなくても、それがみんなの為になるなら敢えてやってやろう、これは皆にとって大事なことだから、細かいことには敢えて眼をつぶろう、これは必要なことだから目先の主張をこらえて大目に見よう、といった気持ちを持つ人たちが残っているとしたら、まだまだ東京は捨てたものじゃないよね・・・。 

まあ、こんな風に思うのはニーチェが云う畜群的道徳に過ぎないんだろうけど…。 tomokoちゃんはどう思う?」


少し考えてから、私は正直に答えることにしました。

「ねえ、女の子は生きるのに忙しいの。 ニーチェを一行読む暇があったら無駄毛を一本抜くわ。 だから私には難しいことは判らない・・・。

たしかに東京には闇の部分があると思うの。 ブルマー島事件のように、女子高生の純な恋心さえも、反社会的勢力が資金源にしてしまう。

センター街で知り合った男の子から、君は痩せればきれいになると言われて覚醒剤を与えられて、骸骨のような廃人になって自殺した子もいた。

好きになったホストからナンバーワンになりたいと囁かれて、店に通いつめるお金を稼ぐために一晩5人の男性とセックスしてた子も知ってる。

広大な敷地のあちこちに深い枯れ井戸のような落し穴があって、女の子が一度落ちたら這い上がるのが難しいような都会ね。

渋谷第一学園の大西真紀ちゃんみたいに優れた格闘技術を持っていれば別だけど、私たちみたいな平凡な子が落し穴に落ちないように生きていくのは、それはそれは大変なことだわ・・・。


でもね、私も麻衣も愛美も香織も、無防備な少女だった私たちは、誰かが見守ってくれたから、暗くて危険な落とし穴に落っこちずに済んだ。

私たちは東京に住む眼に見えない大勢の人たちのおかげで、何とか大人になれて、人並みに恋もできたの。

なにより、私がこうして冬彦さんと出会えたのも東京なの。 

私を育ててくれて、大好きな人と巡り合わせてくれた街…。 だから、私、無条件に東京が好きよ? これでは質問の答えにはなっていないかしら…」

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コメント
No title
畏れ多くも真紀ちゃんの後ろ姿画像を使わせて頂いて(汗)

フ―子の加害者もクスリでしたよね…。
No title
tomokoさん、こんばんは^^

いつもさりげなくウチの子たちを紹介していただきありがとうございます。
黒島には渋一学園の子も何名か渡った経験があるようです。
女の子は伝説という名の神頼みが好きなのですね。

これからも応援していきます。

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「誰も口には出さない。 でも、多くの人々が偽神社の意外な存在意義に理解を示し、その公務員の判断に心の中で賛同していたのかもしれない。そんな、こんなで、7年間、偽神社は撤...
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